『劇場版テレクラキャノンボール 2013』

『劇場版テレクラキャノンボール 2013』(2013)/カンパニー松尾


もうずいぶん前だが、ポレポレ東中野の再上映で
『劇場版テレクラキャノンボール』を観た。

特に内容に興味があるとか、劇場版じゃないものを知っている、とかではない。
話題になっているから、というミーハー心だ。観とかないとという焦りがあった。

出てくるAV男優に馴染みもないし、本来AVというものは映画館のようなところで観るものでない。
人と一緒に、ましてや大勢の人と一緒にみるものではない。

その日はレディースデーで私以外にも女性客がたくさんいた。
私は本当に予備知識がなかったので、観てからのお楽しみという感じで映画に臨んだ。


観た後に、私の中に生まれたのは
「AVもエンターテイメントである」
ということだった。それはなんというか、衝撃だった。

今まではなんとなく目を伏せたい、みたくない、と思っていたものが
実はこんなにも明るくハッピーな世界だったの!?
すごく噛み砕いていえばこういうことだ。

「性」のことはなかなか扱いづらいテーマである。
人によっては拒絶する人もいるだろうし、また別の人は大好きだったりする。
前者は女性で後者は男性の場合が多いが、必ずしもそうだとも限らない。

「セックス」という行為はきっと一般的には「恥ずかしい」ことである。
人に見られるなんてもってのほか。でもきっと「好き」な人は多い。
そしてそれは一人ではできない。

劇中で「人にできない事を俺たちはするんだ」みたいな言葉があった。
つまりはそこに喜びや快感を覚える男たちと、
なんとなく社会にはなじめなくなったセックスが好きな女性たちが、
出会い、交わること。これをエンターテイメントにしてしまった。

いや、最悪だ。
普通に考えれば最悪だ。

しかし、それは表現者としてはひとつの表現に間違いない。

私はやはり女なので、きゃははと笑って観るだけはできなかった。
社会の闇を感じざるを得なかったし、嫌気がさすことも当然ながらあった。

「本気でセックスしたい女性を笑うな!」
といまふと、思ったので今更この文章をかいている。

ただ作り手には、そう言う事すら全部含めて
「笑ってしまおう。遊びにしてしまおう。」
という慈悲のようなあきらめのような気持ちもあるかもしれない。

馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、可哀想だと思いながらも、
もうそう言う生き方しかできないのだから。お互いに、と。



いや、ただ、セックスが好きなだけで、女とはめまくりたいだけかもしれない。
いかんせん、性別上、評価が難しいところがある。
笑ってみることができれば吉。



This entry was posted on 2014-11-26 and is filed under ,. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response.

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