『映画 鈴木先生』/河合勇人(2013)
「鈴木先生」はひとりの人間の中にいる何人もの自分の存在を再認識させてくれる。
不埒な妄想も、口には出せない欲望も、葛藤も苛立ちも、あってよいのだと教えてくれる。
学生時代、閉鎖的な世界での人間関係や、
大人になったつもりの大人たち、大人になれない大人たち、
気付いているのにどうしようもない社会の理不尽
そういったものが客観的に描かれていてあらためて考える。
考えても解決しないことばかりの世界だ。
それでもこの世界で生きていかなければならないのならどうするか。
アルジェリアで日本人が死んだ。
明日、電車でとなりに乗った人に刺されるかもわからない。
それは防ぎようもない。きっと。
そういう世界。
だけどその中でも生き甲斐や素晴らしいことはあるよねっていうのが「鈴木先生」の締め。
エンドロールも飽きない工夫がされていてよかった。
言葉にできないもやもやしたものを代弁してくれる素晴らしい映画である!
mimico.