『チャッピー』

『チャッピー』(2015)/ニール・ブロムカンプ


世界一治安の悪い都市、ヨハネスブルグ。
警察はそこに「ロボット警官(=スカウト)」を導入する。
スカウトを導入したことにより、都市の犯罪は減少していく。

スカウトを開発、製造したテトラヴァール社では、
開発者のディオンが社内中から賞賛されていた。
その一方でディオンは、全く別の人工知能の開発に勤しんでいた。
自分で学び、成長する、知能をもったAIプログラム。
そしてその人工知能の開発はとうとう成功する。

しかし、上司はその人工知能のインストールを認めてはくれなかった。
「武器をつくる会社で、美術品がわかるロボットの話?」

ディオンは廃棄処分予定であったスカウトを一台盗み出し、
自分のつくった人口知能をそのスカウトにインストールしようとする…。


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この監督の映画を観るのは『第9地区』以来だ。
『第9地区』をみたときはなんだか悲しい気分になった覚えがある。
それはおそらく、大学の授業を思い出したからだ。
ヨハネスブルク、世界で一番治安が悪い都市の一つ。
Wikipediaにもそう書いてあるのでおそらくそうなのだろう。

自分にはどうにもできない事実をただつきつけれても、
どうすればいいかわからず戸惑うだけだ。
今、思えば私はあまりにも
『第9地区』をエンターテイメントとして観ていなかったのだろう。


『チャッピー』は素晴らしいエンターテイメントだ。
笑えるし、ちょっと泣ける。

キャラクターもすごくいい。
ストイックで生真面目な開発者。
プライドの高い憎悪で怒り狂うライバル。
利益だけしか追い求めない上司。
120%のギャングたち。

世の中には言葉でうまく説明できないことだらけだけれども、
言葉で説明できるのはとても素晴らしいことだ。
わかりやすくて、夢中になれる。


絶望の繰り返しの中、この映画には希望がある。
最後にわたしたちをきちんと救ってくれる。
監督のやさしさかな。







This entry was posted on 2015-06-03. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response.

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