『愛、アムール』/ミヒャエル・ハケネ(2012)
誰しもが老いるし、死ぬ。人生は壮大で「かくも長い」。
少し淡々としすぎかな、とも思うが、
転げるように悪くなっていく病状も、卑屈になっていくさまも、
観客という第三者からみたら充分だ。充分にわかる。
淡々と。あとは本当に終わりを待つだけの日々だ。
これは私にとっての「現実」であり、ファンタジー。
きっとこの映画を観れば思い出せる事がある。
あの日、あのときを何度も後悔する。
すべてを投げ打ってでも戻るべきときがある。
たとえそのあと終わりがくるとわかっていても。
だからって、諦める人間にはなりたくない。
人が人でなくなっていく様をまざまざと見せつけられるのはとても苦しい。
私は自分がジョルジュだと思っていたけどエヴァでしかなかった。
映画館からもすすり泣く声が聞こえたから、嬉しかったけど
でもそれと同時に「現実」を受け入れなければいけないことを思い知る。
ただ映画館を出てまたいつもと同じ日常に戻っていくほかなかった。
いつか私が撮りたい映画は『愛、アムール』にとても近い。
こんな大それた事をどの口がいうか、でも何かしらのカタチで伝えたいと思う。
常に、カウントダウンははじまっている。
mimico.