Archive for 4月 2016

太陽

No Comments »



入江監督の映画は、
なんだか不思議な映画だ。

どちらかというと感情移入はしない。
なんというか、ただひたすらに
「目撃」を繰り返してしまう。

物語がはじまっても
映像の向こう側の世界は日常で
みている私はなんだか取り残されているような気持ちで
客観的に向こう側をみている。
みさせられている。


引き画、そして長回し。
それは意図されたカット割りが
もたらす効果とは別のものを生み出す。

妙なリアリティが、
私を「目撃」してしまった気分にさせる。


詳細は決して見えてこないのに
確実に何が起こっているのかはわかる。

表情や個人にはフォーカスしないが、
その場所のかなしみやくるしみや叫びが私たちには伝わる。

ニュース番組みたいだな。

遠くで起きている地震や
同じ街の中で起きた事件を
私は知らない。

それでもそれは確かに起きていて、
それを見て私たちはかなしいな、
とか、つらいな、とか思っている。


ニュースでは知れなかった部分まで、この映画は教えてくれる。
誰にも知られず起こってしまった悲劇や結末まで。

やっぱりかなしいな。
私はそう思ってみていた。