iPhoneが壊れたのでApple Storeに行った。
東京には渋谷と表参道と銀座にしかApple Storeがない。
一番近いのが渋谷なので渋谷に行った。
銀色のリンゴの看板、お店に入ると陽気な(おそらく短パンを履いていた)お兄さんが、「どうしましたか〜?」と心配そうな顔で近づいてくる。
「SIMを認識しなくなってしまって」というと、「あら〜それは大変」とまた、いかにもな顔をして対応してくれる。すぐにインカムでどこかに連絡をする。
「実は今日、上のサポートは終了してしまっているんですよ、」と言っていたが、ひとまず待たされ店員に支給されているらしきiPadにアドレスやらを入力する。
「一緒に上に上がってきてもらっていいですか」と陽気なお兄さんと一緒に二階へあがる。
すると今度は別の女性の方が案内をしてくれる。「本日サポートは終了してしまっているのですが、ひとまずご案内できるスタッフがいるかどうかだけでも確認しますので、少々お待ちください。最悪21時まで待って頂くかもしれません。」
お店の閉店時間は21時。20時過ぎに来店したので、まぁ私は仕方ないと思い、特に予定もなかったので大丈夫だと言って待つ。
多少は待ったのだろうが、それほど時間もかからず、今度はまた別のテーブルに案内され、別のスタッフがやってくる。
慣れた対応で、落としましたか?水には濡らしてないですか?まずはデータを全部消してみるのが最初にやることなんですが、大丈夫ですか?ー大丈夫です。とあっという間にことは進む。
フロアには他にもたくさんのお客さんと店員がいて、それぞれがそれぞれ対応を受けている。
全員同じ機械を持って、同じような悩みを抱えた人たちだろう。
壊れたiPhoneを取りに来る人々、iPad、MacBook、同じ形のリンゴのマーク。
なんだかとても不気味な場所だなぁと思いはじめてしまい、iPhoneを使ってる自分に対して、少し嫌悪を抱いていた。
以前、iPhoneからAndroidに機種変更をした友人がいた。
「なんか宗教みたいで気持ち悪くなっちゃって」
ふと、電脳化された世界の物語を思い出した。
私のiPhoneは初期化の手順が須らく進み、全く元の状態にリセットされた。
しかし、直らなかったので、中身開けると言ってまたテーブルで待つ。
結局水濡れのため、本体交換となり、全く同じ形の新しいiPhoneがやってきた。
「本当は40000円かかるところ、Applecareというものに加入しているので7800円で交換できるんで。」
「はい」
家に帰って、iPhoneをバックアップから復元する。すべて使っていた状態まで巻き戻り、元どおりになった。
これは一体なんだかすごく恐ろしいことなのではないかと思いつつ、またいつものようにiPhoneを手にする。